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顧客同士を結ぶビジネス促進ツール【Equinix Marketplace(エクイニクス・ジャパン)】

エクイニクス・ジャパン 代表取締役社長 古田 敬氏
エクイニクス・ジャパン
代表取締役社長 古田 敬氏

MicrosoftやGoogleも利用者に名を連ねる、グローバルなデータセンター事業者Equinix(エクイニクス)は、顧客相互のビジネスを促進する無料サービスをスタートした。同じデータセンターを利用するビジネスパートナを、SNSのような仕組みで簡単に探せるというものだ。同社は顧客としてさまざまな分野の企業を4000社以上抱えており、利用者間の連携をサポートする機能も充実している。
取材・文:柏木恵子 写真:津島隆雄

ビジネスのプラットフォームを提供

Equinixは、1998年に設立されたグローバルなデータセンター事業者であり、世界99カ所にIBXと称するデータセンターがある。また、グローバルであると同時に、さまざまなネットワークから自由な選択が可能な「キャリア・ニュートラル」を標榜している。大きな特長は、コロケーション一本ということ。サーバーホスティングはもとより、マネージドサービスなども行っていない。

データセンターというと、サーバーを置くスペースを貸す不動産業というイメージもあるが、Equinixの場合はもともとのビジネスモデルがそれとは異なる。IBXという言葉は、当初は「Internet Business eXchange」の意味であった。つまり、サーバーを置く場所でありかつ広帯域のインターネット接続が可能なビジネスの場所を、企業に提供するということである。

その後、IBXの意味は「International Business eXchange」となる。要するに、さまざまな企業が世界各国で相互に結びつき、各社のビジネスを促進する場であるというのが、そもそものEquinixの立ち位置なのだ。複数企業が連携してビジネス生態系を作ることを欧米でよくエコシステムというが、「グローバルなエコシステムを促進するのが我々のビジネスの根幹」と、エクイニクス・ジャパンの代表取締役社長古田氏はいう。

Equinixは、IBXであるためにエクスチェンジとしての機能を随時拡充してきた。まずInternet Exchangeとしての機能としては、世界中のインターネット・トラフィックをピアリングし、スケールとパフォーマンスを提供するとともに、決済機能などの新機能を追加した。

さらに、Equinix Carrier Ethernet Exchangeとして、通信事業者のネットワークサービスの相互接続を中立的な立場で提供している。2010年から開始されている同サービスは、広域イーサネットサービスの1対多型E-NNIソリューションという位置づけで、異なるキャリア間のイーサネット網を簡単に接続できるだけでなく、相互にデータベースの参照などが可能になるため、利用通信事業者にとっては他の事業者との相互接続の大幅な時間短縮と利便性の向上が実現できる。また将来的には、IP-VPNへの対応も計画している。もちろんそれだけでなく、複数事業者が連携しやすいようにデータセンター構内の物理配線なども工夫している。

同じプラットフォームにビジネス相手がいる

顧客相互のビジネスを促進するツールとして、2011年10月24日に新たに発表したのが、Equinix Marketplaceである。これは、4000社を超えるEquinixの顧客企業を繋ぐ、無料のSNSサービスとイメージすればほぼ間違いない。

Equinixのデータセンター利用企業を、同社では、通信事業者、金融系、クラウド/IT系、コンテンツ配信系、エンタープライズという5つの分野に分けている。現状でも、たとえば株式や債券などの取引所と通信事業者の連携などでは、インターコネクションやエクスチェンジのサービスを利用してビジネスを行っている例が多くあるという。取引所ではコンピュータによる自動取引などを行うため、大量のトラフィックが発生し、コンマ何秒の遅延が莫大な損失に繋がることから、広帯域・低遅延で、高品質のネットワークへの接続が不可欠だからだ。また、企業とクラウド/IT事業者との連携なども、今後は増加するかもしれない。

このような各分野で4000社を超える顧客が存在するということは、相互にビジネス相手であり、あるいはビジネスパートナである可能性の高い企業が、同じEquinixのプラットフォームを利用していることを意味する(図1)。そこで、顧客各社がビジネス相手やパートナを簡単に探せるようにするという、顧客メリットを提供するのがこのサービスの目的だ。と同時に、Equinixにとってはコロケーション以外のエクスチェンジサービスの利用者が増えることにもなる。つまり、顧客相互のビジネス促進がEquinixのビジネスにおいても重要な部分を占めているというわけだ。


図1 Equinixのグローバルなアクセス拠点

図1 Equinixのグローバルなアクセス拠点
北米、南米、ヨーロッパ、アジアの4大陸、12カ国、37の市場で99のデータセンター、4,000以上の顧客、675のネットワークのアクセス拠点。

インターフェイスはSNS

自社の顧客同士を繋いで新たなビジネスを送出するためのコミュニティという議論は、これまでも各所でされているし、実際に機能している例もある。しかし、データセンター事業者では初めての試みといってよいだろう。そのツールとしてSNSを選択したのは「世間でSNSが定着し利用者も多いため」と古田社長はいう。今なら、SNSの形式を取ることが利用する側にとって最も使い勝手のよい、違和感のないものになっているという読みは、恐らく当たっているだろう。そして、99カ所で4000社以上の企業が利用しているというスケールだからこそ、この方法が有効であるともいえる。

Equinix Marketplaceのユーザーインターフェイスは、いわゆる普通のSNSと同じである。会社や担当者の紹介欄、メッセージ送信ボタンなどがあり(画面1)、作りは非常にシンプルだ。各企業がプロフィールを書き込んだ自社ページを作り、ビジネス相手を探したければサービスの種類やデータセンターのロケーションといった条件をクリックして検索すればいい。どこまでの情報をどの範囲に公開するかなどの選択が可能な点も、普通のSNSと同様である。

近年、データセンターの差別化として、ただの不動産業ではないプラスアルファの付加価値を持たせることが進められてきた。その手法の1つがマネージドサービスや、リソース単位で貸し出すIaaSのようなクラウドサービスである。Equinixはマネージドやホスティングへは向かわず、顧客間のビジネス促進へと舵を切った。その手法がこのEquinix Marketplaceというサービスということなのだろう。

画面1 Equinix Marketplaceのユーザーインターフェイス

画面1 Equinix Marketplaceのユーザーインターフェイス
図2 Who are your Neighbors in Platform Equinix?<br />

図2 Who are your Neighbors in Platform Equinix?