カテゴリー別アーカイブ: 解説記事iDCを支える黒子たち

安全なラックマウント作業を行なうDC専用リフト【ServerLIFT SL500】

開発:ServerLIFT
国内販売:ブルーオーシャン合同会社
http://www.blueocean-llc.com/j/index.html

text:廣澤 純

サーバーなどのIT機器をラックにマウントする作業は、なかなか大変な作業である。ハードウェアベンダーと機種にもよるが、1台のラックマウントサーバーでもだいたい10kg以上、しかも、最近のフルサイズのサーバーは、奥行きがかなり長い。サーバーの両脇から2人でこれをマウント部分のレールに水平に持ち上げて挿入し、前後位置の調整やドライバーで固定する作業は、狭いラック間の通路で行うのはかなり辛い作業だ。特にラックの上部や中腰にならざるを得ない位置は、肩や腰にかなりの負担がかかる。5台以上をマウントするとなると、これはもう重労働の域に達する。

最近は、ブレードサーバーのエンクロージャをマウントする必要もあるが、これも数十kgはある。10枚以上のサーバーブレードを搭載すると、100kgは軽く越えるほどの重さになり、これを人手で移設することは、あまり考えたくない作業である。

IT機器を大量に入れ替えるような場合は、外部の専門業者に委託できても、データセンター内での日常的な運用にともなうメンテナンスでは、サーバーやIT機器の設置、移設作業はITスタッフが手作業で行うのが普通で、若手の仕事の1つぐらいにしか思われていない。しかし、こうした当たり前の作業が、実は機器の落下、損傷のみならず、スタッフの怪我などの危険性をはらんでいることは、少し考えれば誰もが想像できることである。

DC専用リフトで安全性・生産性をアップ

こうしたデータセンター内でのIT機器設置・撤去にフォーカスして、作業時の安全性を高め、しかも作業効率を高める製品として開発されたのが、ServeLIFTである。最大225kgの機器を2.4mの高さまで安全にリフトできる。また、71cm通路の通り抜けが可能なので、狭いデータセンター内の通路でも容易に操作できるように設計されている(図1)。バッテリーの充電部分を内蔵しているが、これも液漏れ対策を施した設計となっている。ServerLIFTを使用すれば、100kgを超えるブレードサーバーでも1人で移設が可能となる。

図1 SL500の特徴

図1 SL500の特徴
ServerLIFT SL500 は最大225kgの機材の昇降が可能データセンターに導入した機器を安全に設置・撤去できるように設計されている。(出典:ブルーオーシャン)

価格は、本体198万円(税別)。梱包材から機器を取り出すための拡張オプションは、19万2000円(税別)。開発会社は、米ServerLIFT。

実際にサーバーをマウントするデモ映像がWebサイトで公開されているので、自分の目で確認してみるのがいいだろう。

図2 サイドシフトプラットフォーム

図2 サイドシフトプラットフォーム
サイドシフトプラットフォームは、左右に15cmスライド可能なためラックへのインストールが容易。(出典:ブルーオーシャン)
表1 SL500仕様

表1 SL500仕様

業界定番の警告灯が大幅バージョンアップ【警子ちゃん4Gシリーズ】

株式会社アイエスエイ
http://www.警子ちゃん.com/

text:廣澤 純

第4世代の警子ちゃんシリーズ

図1 本体外観

図1 本体外観

データセンターのみならず、コールセンター、医療機関、学校、観測所など、幅広い分野で警告灯の定番製品として利用されている「警子ちゃんシリーズ」の第4世代がリリースされた。1年前に第3世代がリリースされたときには、ボディカラー、インターフェイス、ランプ数、レンズ色の組み合わせが自由に行えるようになり、機能面でも監視ノード数とSNMPトラップの種類の増加や処理の高速化が実現されるなど、かなり大幅な機能拡張が図られていた。が、今回のバージョンアップでは、外観は第3世代と変わらないものの、警告灯のアーキテクチャそのものの見直しが図られ、機能的には前回よりも大幅な変更となっている。

まず、CPUにはMarvell ARM(1.2GHz)を採用したことで、メモリ空間の拡大とともに、処理性能が大幅に向上している。ネットワークインターフェイスも昨今の広帯域化に対応し、1Gbitイーサネットのインターフェイスを搭載、加えて、無線LANの搭載機種も用意された(DN-1500GL-A----)。無線LANの用途にはいろいろ考えられるが、1つにはデータセンター内の有線側の帯域に負荷をかけないよう、センサ系のネットワークを無線LANに集約する、あるいはスマートフォンを端末にして、監視情報を取得するなどといった使い方が考えられる。無線LANモジュールが別売されているため、後からアップグレードするパスも用意されている。こうした拡張は、主にユーザーからの要望に応えたものだという。

ネットワーク機能、監視機能についても、最近のネットワークインフラの状況変化に対応して、いくつかの点で拡張されている。1つはIPv6への対応だ。IPv4とIPv6の両スタックをサポートしたことで、今後のIPv4、IPv6混在環境に対応することが可能になった。監視対象は、ルータ越えを含め最大60個まで(監視ノード数20個、SNMPトラップ40個)設定できる。また、SNMP v3へ対応したことも目玉機能の1つだろう。これは、最近増えてきた、1装置内に複数の機器を内蔵するネットワーク接続機器に対応するためだ。これにより、文字列を含む最大5個までのバリアブルバインディングスによる判定(最大32文字/文字列)が可能になった。

警報・通知機能にも拡張がある。これまでの光(ランプの点灯・点滅)と音(ブザーの鳴動)、メール、IPメッセンジャーに加え、音声メッセージが利用可能になった。MP3形式で最大20個のメッセージを登録可能(サイズは最大10MBまで)になっている。ユーザー自身が市販のボイスレコーダや読み上げソフトで音声データを作成し、登録することができる(警告音声は、2種類が当初から組み込まれている。別売で50パターンの音声ファイルも用意されている。音声データCDの価格は4,900円)。

柔軟性の高い警報通知機能

図2 無線LAN搭載モデル本体背面

図2 無線LAN搭載モデル本体背面

警報通知機能については、音声通知が追加された以外にも、大きな仕様変更がある。1つは監視対象とアクションの対応関係だ。これまでの3Gまでは、1つの監視対象項目に対して、1つのアクションが固定で設定する形だったが、4Gでは監視項目とアクションが自由に結び付けられるようになった。たとえば、A、B、Cという監視対象に対するアクションをすべて同じαにすることもできるし、Aはα、Bはβ、Cはγといったアクションの設定も可能になった。また、ノード監視のpingのエラー判定に、応答時間と回数を任意に設定できるようになった。これは、ネットワークのトラフィック増によってpingの応答時間が長くなるような場合でも、適切なエラー情報を設定できるようにするためだ。

さまざまな拡張の施された4Gであるが、今後は、USB接続で機能の拡張を図り、ビル管理、FAのプロトコルとの融合を目指すとしている。希望小売価格は、5灯タイプが8万9,800円(有線+無線LAN対応)(有線LANのみ8万3,800円)、3灯タイプ有線LAN+無線LAN対応7万9,800円、有線LAN対応7万3,800円、発売は、2011年12月1日よりとなっている。

なお、警子ちゃん3Gも継続して販売される。

信頼性を強化したエントリークラスの重複除外バックアップストレージ【Data Domain DD160】

EMCジャパン株式会社
http://japan.emc.com/

text:大川泰

EMCジャパンが2011年11月7日に発表した「Data Domain DD160」は、重複除外機能を搭載したバックアップストレージ「Data Domain」ファミリのエントリーモデルだ。従来製品の「Data Domain DD140」は、RAID 5までの対応、スペアを搭載しないディスク構成といったスペックだったが、DD160は、RAID 6に対応するとともにスペアディスクを搭載し、信頼性を強化した。同製品の発表を機にEMCジャパンは、国内のエントリーバックアップストレージ市場を積極的に開拓していく構えだ。

上位モデルと同等の機能を実装

DD160は、信頼性や機能の面ではData Domainファミリの上位モデルとほぼ同等である。上位モデルと異なるのは、バックアップ容量やデータ転送速度といった点だ(表1)。DD160は、500GBのHDDを最大12本搭載可能で、物理ディスクの実効容量は最大3.98TB、データ転送の速度は毎時667GBとなっている。さらに、オプションの「DD Boost」により、データ転送速度を毎時1.1TBまで向上させることができ る。このDD Boostは、「Symantec Backup Exec/NetBackup」や「EMC NetWorker」などの対応バックアップソフトウェアとData DomainのAPI連携を実現するソフトウェアである。重複除外処理をバックアップサーバ側でも実行可能とし、Data Domainに転送するデータ量を削減することで転送速度の向上を図る。

表1 Data Domainファミリ主要現行モデルの基本性能

表1 Data Domainファミリ主要現行モデルの基本性能

DD160のラインアップには、HDD 12本をフル搭載したモデルと、7本で実効容量1.6TBのモデルが用意されている。価格は、7本搭載モデルで100万円となっている。

また、DD160は、上位モデルではオプションとなるレプリケーション機能「Data Domain Replicator」がバンドルされている。低価格なエントリーモデルであるため、複数の拠点を持つ企業が各拠点にDD160を導入し、本社もしくはデータセンターに設置した上位モデルにバックアップデータを集約するという利用形態へのニーズが生まれると予想される。そうしたニーズに応えるために、DD160にはレプリケーション機能がバンドルされることになった。

Data Domainファミリの優位性

前述のように、DD160の機能はData Domainファミリの上位モデルとほぼ共通である。ここでは、次の3点に絞って同ファミリの特徴について解説する。

  • インライン型の重複除外
  • 確実なリカバリを可能にする信頼性
  • 効率的なレプリケーション

インライン型の重複除外

一般的に重複除外は、インライン型とポストプロセス型という2方式に分類される。Data Domainファミリが採用するのはインライン型で、この方式はデータがHDDに書き込まれる直前に重複除外を実行し、重複部分が無くなったデータだけを保管するというものだ。一方、ポストプロセス型は、いったん保管したデータに対して重複除外を実行する方式である。

ポストプロセス型では、重複除外処理の前に全データを保管する“作業領域”をHDD上に確保する必要があるが、インライン型ではデータ領域のすべてをバックアップに利用できるため、容量利用の効率性という面では、インライン型に分があると言える。

Data Domainファミリによる重複除外の効果を示したのが、図1である。この図は、毎週金曜日にフルバックアップ、ほかの曜日は増分バックアップを行うという例だ。最初の金曜日に実施した1TBのフルバックアップの中にも重複ブロックが存在するため重複除外の効果があり、これとData Domainファミリのデータ圧縮機能を合わせることで、実際に消費する物理容量をバックアップデータの論理容量の4分の1まで抑えている。その後、毎日の増分バックアップでも物理容量の消費を論理容量の10分の1に抑え、次の金曜日に実施する2回目のフルバックアップでは、50分の1以上の容量削減効果を発揮している。

図1 Data Domainファミリによる重複除外の効果の例

図1 Data Domainファミリによる重複除外の効果の例

ただし、重複除外の効果はバックアップするデータセットの種別で異なる。データベースやオフィス文書、仮想マシンファイルといった重複ブロックが多いデータセットには、特に大きな効果が期待できるであろう。

確実なリカバリを可能にする信頼性

信頼性の低さからテープストレージに見切りをつけて、ディスクバックアップに移行するユーザーは少なくないが、Data Domainファミリは、HDDの信頼性に依存することなく、データロスを防ぐ高信頼化機能によって確実なリカバリを可能にしている(図2)。

図2 リカバリの確実性を担保するData Domainファミリの高信頼化機能

図2 リカバリの確実性を担保するData Domainファミリの高信頼化機能

Data Domainファミリでは、データを書き込む際にチェックサムもHDD上に書き込み、バックアップが完了したら書き込まれたデータとチェックサムを比較することで、データが正しく書き込まれたかどうかを検証する。データの不整合が見つかった場合は、RAIDによって正しいデータに修正する。

ファイルシステムにも、信頼性を高める仕組みが備わっている。ファイルシステムは、どのデータがどこに保管されているかを示すメタデータを保持しているが、このメタデータと対応する実データをマッチングすることで、データの整合性を検証する。

前述のRAID 6やスペアディスクも、リカバリの確実性を高める機能だ。これらをエントリーモデルのDD160に実装したことも、信頼性を重視する姿勢の表れであろう。

効率的なレプリケーション

Data Domainファミリの内部に保管されている全データには、重複除外と圧縮が施されている。したがって、レプリケーション時に転送するデータも重複除外と圧縮で小容量化したデータとなる。このため、従来のレプリケーションに比べて、ネットワーク帯域の消費量を削減し、レプリケーション時間を短縮することができる。

また、インライン型の重複除外という特徴も、レプリケーションの効率化に一役買っている。ポストプロセス型では、データを保存してから重複除外を実行し、その後にレプリケーションを行うことになるが、インライン型では、バックアップ終了時に重複除外とレプリケーションも終了する。

多彩なレプリケーショントポロジーに対応できる点も大きな特徴である(図3)。例えば、双方向レプリケーションでは、データの送信と受信を同時に行いながら、両サイトで重複除外をリアルタイムに実行することになるが、こうした複雑な処理とデータの整合性を両立するのは簡単なことではない。実際に今日提供されている重複除外ストレージの中には、構成できるレプリケーショントポロジーに大きな制約があるものが存在する。これに対してData Domainファミリは、どのようなレプリケーショントポロジーでもサポートできることを標榜している。

図3 Data Domainファミリが対応可能なレプリケーショントポロジーの例

図3 Data Domainファミリが対応可能なレプリケーショントポロジーの例

このほか、レプリケーションのトラフィックにSSLによる暗号化を適用することが可能だ。重複除外の効果で帯域の狭い廉価な回線でもレプリケーションが可能になったが、廉価な回線ではセキュリティに不安が残ることもある。そうした場合でもトラフィックに暗号化を適用することで、レプリケーションデータのセキュリティを確保することができる。

クラウドサービスへの適用例が増加

最近、クラウドバックアップサービスの基盤として、Data Domainファミリを採用する事例が増えているという。ユーザーとクラウド事業者の両方にData Domainを設置し、ユーザーのバックアップデータをレプリケーション機能でクラウド事業者のData Domainに集約するサービスである。

新製品のDD160は、この種のサービスでユーザー側に設置するのにも適している。本体価格が低く抑えられているうえ、レプリケーション機能がバンドルされており、また、上位モデルと同様に複雑なレプリケーショントポロジーにも対応可能だからだ。

こうした特徴を備えるDD160は、重複除外ストレージの導入の敷居を下げるエントリーモデルという位置付けにとどまらず、Data Domainファミリの適用範囲を広げる戦略的な製品だと見なすことができる。

データ保存のアロケーションを最適化するハイブリッドストレージ【StorSimple】

マクニカネットワークス株式会社
http://www.macnica.net/storsimple/

text:木村慎治

増大するデータ量とクラウドストレージの問題点

写真1 StorSimple 5010外観 写真1 StorSimple 5010外観

爆発的に増え続けるデータ。継続的なストレージへの投資と運用工数の増加は企業にとって頭の痛い問題だ。そこでその解決方法の1つとして、最近とくに数多く発表されているのがクラウドストレージサービスである。物理的なハードウェアを持たず、容量に応じた課金方式により、運用工数とコストを低減するのが狙いだ。

しかし、クラウドストレージには多くの問題がある。パフォーマンスや、安全性、システム連携のための開発に関わる工数やコストなどだ。コンプライアンス上、データの保管場所が明確でなければ利用できないという企業もある。また、とくにパブリック型のクラウドストレージの場合にはWAN高速化が難しいため、パフォーマンスに問題が出ることも多い。アーカイブやバックアップ用途ならともかく、頻繁に利用するデータを保存するには適していないというのが実情だ。

SSD、HDD、クラウドストレージを組み合わせることで課題を解決

マクニカネットワークスが提供する「StorSimple」は、そうした課題を解決するハイブリッドストレージソリューションだ。米StorSimple,Inc.が開発したもので、米国ではすでに昨年から販売が開始されている。2Uのアプライアンスに、SSDとHDD(SAS)を搭載、さらにクラウドストレージサービスと連携するというのが基本的な構成となっている。

その特長は、ユーザーが意識することなく、自動的にデータを最適なストレージに移動する、つまり、データ保存アロケーションの最適化だ。その内容を簡単に説明すると、

  1. よく使うデータは重複排除してSSD
  2. あまり使わないデータは圧縮してHDD
  3. ほとんど使われないデータは暗号化してクラウドストレージ

といった具合に、使用頻度により、高速なSSDから、低速ながらも低コストなクラウドストレージまで、データの保存場所を自動的に最適化するというものだ。

例えば、最近のメールといったよく参照するデータはSSDに、コンプライアンスのために保存しなければならないような古いデータはクラウドストレージに、という保存場所の最適化をシームレスに行うのがStorSimpleの役割だ。

では、その仕組みを詳しく見ていこう。

iSCSIを通じてStorSimpleが受け取ったデータは、まずブロック化され、重複排除されたうえでSSDに保存される。85%のしきい値を超えるとデータは圧縮されてHDDに移動する。さらにHDDの使用率が85%を超えると、データを暗号化したうえでWANを経由してクラウドストレージに移動させる。

データの移動は、使用頻度や参照回数、経過時間、更新時間など、複数の要因からStorSimpleが自動的に重み付け(ティアリング)をして、保存するストレージ(ティア)を決定する。ティアリングは、よく使うデータを全データの10%程度と考え高速なSSDに、続くHDDには25%程度、それ以外をクラウドストレージに保存、という考えに基づき、優先度を決定してティアを選択する。よく使うデータはSSDに残り続け、逆にクラウドストレージに保存されたデータが参照された場合は再びSSDに展開されるといったアロケーションの最適化を自動的に行うのがStorSimpleのティアリングだ。ユーザーは保存されるストレージティアを意識する必要はないし、そもそもサーバー上のストレージビューでは、ティアが移動しても見え方は変わらない。

こうしたブロック単位でのティアリングやデータの重複排除、ティアの移動などについては、StorSimple,Inc.が開発した「Block Rank(ブロックランク)」と呼ばれる技術を使用しており、特許も取得している。

すべてのデータをSSDに保管するとなればコストが膨大になるし、逆にすべてをクラウドストレージとなると使い勝手の問題が発生する。よく使うデータをSSDに、ほとんど使われることのないアーカイブやバックアップのようなデータはクラウドストレージにというのは、コストや運用の面からも実に理にかなった考え方だ。

図1 StorSimpleのソリューションイメージ

図1 StorSimpleのソリューションイメージ
(出典:マクニカネットワークス)
図2 StorSimpleのアーキテクチャ

図2 StorSimpleのアーキテクチャ
(出典:マクニカネットワークス)

クラウドストレージは4サービスに対応
今後はプライベートクラウドも視野に

SSDへ保存される段階での重複排除はStorSimpleが独自開発した技術を使用している。データによって異なるが、排除率は25〜75%。さらにHDDへ移動するときには圧縮される。もちろんしきい値を越えれば自動的にクラウドストレージにデータは移動するので、容量不足を心配する必要はない。

対応するクラウドストレージは、もともと米国で対応していたAmazon Simple Storage Service (Amazon S3)、Windows Azure Storage Servicesに加え、日本ではニフティクラウドストレージサービスとIIJ GIOストレージサービスにも対応している。

HDDからクラウドストレージに移動する際にはデータがアプライアンスの外に出ることになるため、StorSimpleではデータを暗号化して安全性を担保する。暗号化方式はAES 256ビット。自動的に暗号化されたままクラウドストレージで保存されるのでデータの安全性は高く、StorSimpleに戻るときには自動的に復号化され展開される。ユーザーが鍵を意識する必要はない。

なお、クラウドストレージについては、「現段階でこれ以上対応サービスを増やすつもりはない」(マクニカネットワークス担当者)ということだが、プライベートクラウド内のストレージと連携することができるように対応していくとのこと。これが実現すると、物理サーバーで構築された基幹系システムと、プライベートクラウドを導入した情報系システムを連携させて、自社内でさらに安全で最適化されたストレージシステムを構築することも可能となるだろう。

二重、三重にデータの安全性に注力
DRの機能も提供

StorSimpleのSSDは高速なSLCタイプ。StorSimple 7010では6本、StorSimple 5010では4本の100GB SSDがRAID10構成で搭載され、冗長化によりさらに高い信頼性を獲得している。HDDはSASタイプ。StorSimple 7010では2TBが6本、StorSimple 5010には1TBが6本、同様にRAID10構成で搭載されている。クラウドストレージもサービスにより違いはあるもののデータのバックアップなどが提供されており、データの安全性は非常に高い設計となっている。さらに、StorSimpleはDR(ディザスタリカバリ)対策としても有効である。

「クラウドクローン」は、クラウドストレージ上にデータ全体のフルバックアップを保存する機能。メインサイトが災害などで被害受けた際には、代替サイトに別のStorSimpleを設置しコンフィグを投入すれば、クラウドストレージに保存されたクラウドクローンをマウントすることで、簡単にストレージをリストアすることができる。

このほかにも、データのスナップショットをローカルに保存する「ローカルスナップ」、クラウドストレージ上に保存する「クラウドスナップ」など、データの安全性については何重にも機能が提供されている。

震災以降ニーズの多くなっているBCP対策だが、新たに機器やサービスを導入するとなるとコストもかかり、また既存システムとの連携や、運用に手間が掛かることも多い。StorSimpleであれば、ストレージシステムを最適化しながら、DRの対策も同時に行うことができる。

表1 StorSimpleの仕様

表1 StorSimpleの仕様

※1 使用記憶容量はシステムに書き込まれたデータ量を示す。データは部分的に内蔵された記憶装置かクラウドストレージへ保存される可能性がある。保存されるデータ量はデータの種類・重複排除率により変わる。
※2 最大記憶容量を使用する場合は追加ライセンスが必要。
※3 重複排除率を4倍と想定。正確な値は異なる場合がある。

データセンターのファシリティとITインフラ両面の監視・管理【StruxureWare for Data Centers】

シュナイダーエレクトリック株式会社
http://www.apc.com/products/category.cfm?id=7

text:渡邉利和

シュナイダーエレクトリック(旧APCジャパン)は2011年10月11日、データセンター向けの統合インフラ管理ソフトウェア「StruxureWare for Data Centers」を発表した。従来InfraStruxure Management Softwareとして販売されていた製品の新バージョンという位置付けになるが、国内では同社のイベントの開催に伴って、製品名も変更され、バージョン7.0としてリリースされた。

データセンターの総合的な管理

同社が展開する“StruxureWare”は、以前からデータセンター・ファシリティの管理という、ITベンダー各社が提供する運用管理ソフトウェアが、カバーできない領域に対応していることでユニークな存在だったが、“for Data Centers”という名称からも窺えるとおり、今後はさまざまな分野をカバーすべく、対象領域を拡大する方向性を打ち出している。発表時点での紹介では、“for Grid”“for Industry”“for Buildings”といった名前が挙がっており、IT分野のみではなく、産業分野や電力などの特定業界向けの機能も盛り込まれていくことになりそうだ。

とはいえ、まずリリースされたStruxureWare for Data Centersは依然としてIT向けソリューションという位置付けで、IT分野でいう「データセンター」の監視・管理機能を統合したスイート製品となっている。基本的な特徴として同社が挙げているのは「高度でベンダーに依存しない管理ソフトウェア」「ITの複雑な物理的インフラの一元管理と分析が可能」「ビル、エンタープライズ、ネットワークの管理システムと連携し、品質の確保、コスト削減とエネルギー効率化、短期・長期の計画策定、データセンターの装置やリソースの割り当てに役立つソリューション」といった項目になる。また、今回の新バージョンで新たに打ち出されているのは「細分化されたグループ間の協働と継続性の実現」というものだ。これは、これまでは担当者が完全に異なっていた「ファシリティ側での電力監視」「ファシリティ側での冷却監視」「ITインフラ側の監視」「ITインフラのオペレーション」という要素を、ファシリティ側は“Data Center Facility Management(DCFM)”、IT側は“Data Center Infrastructure Management(DCIM)”という2つの機能に整理したうえで、さらにこの両者を統合する「データセンターの管理」をStruxureWare for Data Centersでカバーするということになる。

監視と管理の2つのスイート

StruxureWare for Data Centersの製品構成としては、大きく「監視」のための“StruxureWare for Data Center Monitoring Suite”と、「管理」のための“StruxureWare for Data Centers: Operations Suite 7.0”の2つのスイートに大別される。Monitoring Suiteに含まれるのは、“StruxureWare for Data Centers: Central 7.0”“同Power”“同Cooling”の3製品で、Operations Suiteには“StruxureWare Operations: Operations”をはじめとする10製品で構成される(表1)。名称変更と体系整理が同時に行われているので少々分かりにくい面があるが、Central 7.0は旧InfraStruxure Central、Powerは“PowerLogic ION Enterprise”Coolingは“CyberStation/VISTA”のそれぞれ後継という位置付けだ。また、Operations Suiteは旧InfraStruxure Operationsの後継であり、含まれる個々の製品もおおむね旧製品からの引き継ぎと考えてよい。つまり、製品としての大きなコンセプトはアップデートされ、名称や体系に対する整理も行われているが、従来製品と完全に隔絶したまったく新しい製品に切り替わったわけではなく、個々に見ていけば従来製品を着実に更新/機能強化したものとなっていることが分かる。

表1 StruxureWare for Data Centersの製品構成
表1 StruxureWare for Data Centersの製品構成

主な新機能

スイート全体で多数の製品を含んでおり、かつそれぞれが個別にさまざまな機能強化を行っているため、全体としての新機能や機能強化は膨大な数に上る。そのすべてを紹介することはできないので、ここでは主立った点のみを紹介する。

まず、StruxureWare Centralは、データセンターにおける物理インフラを統合管理するアプライアンスとして、従来InfraStruxureの中核製品として提供されてきた製品だ(図1)。今回のバージョンアップの大きな変更点の1つが、StruxureWare Central 7.0では新たにソフトウェアのみを仮想アプライアンスとして提供する形態が加ったことだ。この結果、高可用性を実現するためのクラスタリングなどが、従来以上に容易に実現できるなどのメリットが生じている。また、“バーチャルセンサ”機能が新たに実装され、複数のセンサをまとめて閾値を設定し、監視できるようになった。従来は、たとえばラック単位での電力消費量に対して閾値を設定するだけだったのが、電力系統を共用する、複数ラックの電力消費量の合計値に対して閾値を設定するようなことが可能になるということだ。これにより、あるラックの消費電力量が負荷変動などで上昇した場合でも、他のラックの消費電力量が低い場合には、即座に電力消費量を抑制しなくても問題ないといった、より高度で柔軟な運用が可能になる。

図1 StruxureWare Centralの機能
図1 StruxureWare Centralの機能
データセンターに設置されている物理インフラ機器を統合し、電力や冷却、温湿度などの環境情報、さらに監視カメラや電子錠から得られるセキュリティ情報を一元管理する。(出典:シュナイダーエレクトリック)

Operations Suiteの各製品でもさまざまな機能強化が行われている。Operationsもソフトウェア提供が開始され、クラスタ構成やロードバランシングといった大規模環境で有用な高可用性構成が利用可能になった。個々の製品の新機能では、Capacityに追加された“3D Airflow”機能が注目される。これは、サーバールームのエアフローを3Dで可視化/シミュレーションを行う機能で、より緻密なエアフロー制御が可能になる(画面1)。新規追加製品では、Insightがカスタムレポーティングツールとして提供される。運用に役立つさまざまなデータを多彩なテンプレートに落とし込んで見やすいレポートを作成するためのツールだ。また、Dashboardも同様のレポーティングツールといえるが、こちらはCEOなどの経営層、管理者向けに高度な抽象化を行い、必要な情報だけを組み合わせて、素早く提示するために役立つ。

画面1 3Dクーリングシミュレーション
画面1 3Dクーリングシミュレーション
(出典:シュナイダーエレクトリック)

DCIMの導入メリット

データセンターの運用監視に関しては、もともとは単体サーバーの稼働監視から始まり、ネットワークの普及に従って段階的に監視対象範囲を拡大してきたが、データセンターインフラに関しては、IT業界とは異なる業界が手掛ける分野として、IT運用管理ソフトウェアが直接監視対象として意識することはなかった。しかし、クラウド化するデータセンターのなかには、すでにファシリティまでを含めた全体最適化を行わない限り、効率化が実現できないレベルまで高度化してきているところも現れている。特に日本国内では電力使用量の削減が強く求められるようになってきており、コスト面だけでなく、社会的な責任という観点からもよりいっそうの高効率化を、運用管理負担を増大させることなく実現していく必要に迫られている。従来のようにファシリティとITインフラを分離したうえで、それぞれが独自に効率化を追求するという形から、一歩踏み出すことでよりいっそうの高効率化を実現するというコンセプトは、こうした現状を踏まえた最先端の取り組みといえるはずだが、一方でファシリティとIT機器を一体で管理できる体制を整備しなければ、効果を引き出しにくいという面もあるだろう。そのため、まずは自社データセンターでサービス提供を行うクラウド事業者や、データセンターを自社設備として抱える、大企業の社内データセンターから、こうしたソリューションの利用が始まることになると想定される。

VMwareに最適化された仮想化アプライアンス【HP VirtualSystem for VMware】

日本ヒューレット・パッカード株式会社
http://www.hp.com/jp/VirtualSystem

text:柏木恵子

写真1 HP VirtualSystem 写真1 HP VirtualSystem

日本ヒューレット・パッカードは、2011年9月27日に、サーバー、ストレージ、ネットワーク機器を組み合わせたHP VirtualSystemの第一弾として、VMware vSphereに最適化されたHP VirtualSystem for VMwareを発表した。

HPは、2001年3月にワールドワイドでコンバージドインフラストラクチャというビジョンを発表している。コンバージドは複数の流れが収斂するという意味だが、コンバージドインフラストラクチャはサーバー、ストレージ、ソフトやサービスが1つに収斂するソリューションを提供することで、迅速なシステム構築や簡便な運用を実現しようというもの。HP VirtualSystemは、このコンバージドインフラストラクチャを実現するHP Converged System製品群の中の1つである。

コンバージドインフラストラクチャの目指すところは「INSTANT-ON ENTERPRISE」というビジョンであり、企業が環境の変化に迅速に対応するのを支援するために、ハードウェアのプラットフォームとOSに加えて、高度な管理機能やアプリケーションソフトまで含めた、パッケージ製品や推奨構成をラインアップしたものだ。

アプライアンスタイプの有用性

2009年に物理サーバーの出荷台数を仮想マシンの数が追い越したのを境に、仮想化提案時代から仮想化前提でシステム構築される時代に入っている。仮想化提案時代では、数台規模のサーバーを仮想化して統合するという使い方がほとんどだったが、仮想化前提時代のITインフラでは、数百台規模のサーバーを仮想化するというように、使い方が変化する。その結果、データセンターでは、マルチテナントで複数ユーザーに仮想サーバーリソースを提供するようなビジネスが盛んになってくると考えられる。

その時に問題になるのは、複数のテクノロジーや製品を組み合わせて適切に可動するのか、大容量のデータをどうハンドリングするか、ネットワークの複雑化とトラフィックの増大にどう対処するかである。さらに、物理サーバーのインターコネクトをいかに安定して繋げるかだけでなく、仮想サーバー間をいかにコントロールするかという新しい問題も出てくる。そうなると、複数の管理ツールがあると運用管理のコストの増大も問題になる。

そこで、サーバー、ストレージ、ネットワーク、運用管理をVMware環境に最適化した仮想化アプライアンスとして組み合わせたのが、HP VirtualSystem for VMwareである。HPが事前に検証したハードウェア構成とVMware環境を、HPが導入しサポートするため、ユーザーにとっては複雑性が解消される。また、シンプロビジョニングによる容量効率の向上や、vStorage APIと連携した高度なストレージ管理といった、ストレージの仮想化連携が可能。さらに10GbitのパフォーマンスとH3Cが開発したIRF(Intelligent Resilient Framework)によるスイッチのスタック技術やHPバーチャルコネクトによるI/O制御など、シンプルで高速なネットワークを実現する。

導入規模に合わせたラインアップ

HP VirtualSystemには、最大仮想マシン数によって、VS1、VS2、VS3の3つのラインアップがある。

HP VirtualSystem VS1 Solution for VMwareは、HP ProLiant DL380 G7とP4500 SANを組み合わせ、約400台までの仮想マシンの集約を想定した小〜中規模向けアプライアンスとなる。VS2は、HP Blade SystemとHP P4800 SANを組み合わせ、約1200台までの仮想マシンの集約を想定した中〜大規模向けアプライアンス。VS3は、HP Blade SystemとHP 3PAR Storage Systemを組み合わせ、約6000台までの仮想マシンの集約を想定した、大規模向けアプライアンスで、高い信頼性とパフォーマンスが求められる仮想環境やマルチテナント環境に適している。

いずれの共有ストレージも、vSphere API for Array Integration(VAAI)に対応しており、VMware vShieldに対応したIPS製品HP TippingPointをオプションで追加可能となっている。また、仮想化に対応した迅速な故障対応や、システム安定稼働のための24時間年中無休の保守サポートサービスを提供する。価格は、HP VirtualSystem VS1 Solution for VMwareが2600万円から、VS2が5900万円から、VS3は1億3700万円から。